ディズニーランドで働くスタッフには、接客のためのマニュアルといったものが用意されていないそうです。そのことを物語るエピソードがあります。
 一組のご夫婦が会場内のレストランに入ってこられました。そのお二人は「お子様ランチ」を注文されました。対応していた従業員は戸惑いを感じながらも、なぜ大人の二人が「お子様ランチ」を食べたいのか、という理由を聞いてみたそうです。というのも、普通のレストランであれば、「お客様このメニューはお子様用ですので、こちらのメニューからお選びいただきたいのですが」といった対応がなされるからではないでしょうか。
 このご夫婦は次のように答えます。「実は私たちには一人こどもがおりましたが、病気で天国に召されてしまいました。生きていれば、今日はその子の誕生日なのです。生前誕生日にはいつかディズニーランドでお子様ランチをたべたいなあ、と言っていました。今日はその願いをかなえてやるために家族で食事に来ました。」
 それを聞いた従業員は、「分かりました。しばらくお待ちください。」と言って厨房に下がっていきました。しばらくすると、その従業員は子ども用の小さな椅子と三人分の「お子様ランチ」を持って出てきました。「どうぞお子様とご一緒に、素敵な誕生会を開いてあげてください。ごゆっくりとお楽しみください。」と言って満面の笑みで接客したそうです。
 この話を聞いて、私はマニュアルのないディズニーランドの意味が分かったような気がしました。つまり、自分にできる最高のおもてなし、それがディズニーランドの最も大切にしている精神だと思いました。
 先日来、いじめが原因で大切な命を自ら絶つ、といういたましい事件が起きています。世の中のみんなが、もっと「自分を大切にする」ことを真剣に考えるようになれば、「人の気持ちになって」行動できるはずではないかと、このディズニーの話を聞いて心から思いました。
 熱い夏が始まります。「豊かな心を持って」「夢」を大事にして、二学期に元気な姿で再会することを願って私の挨拶とします。