校長あいさつ

 立正大学の先生で柿沼昌芳さんという方がおられます。その著書の中でVEフランクルの「それでも人生にイエスと言う」の本から次のような内容を引用しておられます。
 「人間の責任とはおそろしいものであり,同時にまた,すばらしいものでもあります。おそろしいのは,瞬間ごとにつぎの瞬間に対して責任があることです。ほんのささいな決断でも,きわめて大きな決断でも,すべて永遠の意味がある決断なのです。瞬間ごとに,1つの可能性を,つまりその1つの瞬間の可能性を実現するか失うかするのです。
 さて,その瞬間には,何千もの可能性があるのに,そのうちたった1つの可能性を選んで実現するしかありません。しかし,1つの可能性を選ぶというだけでもう,いわば他のすべての可能性に対して,存在しないという宣告を下すことになるのです。しかもそれらの可能性は『永遠』に存在しないことになるのです。それでもすばらしいのは,将来,つまり私自身の将来,そして私のまわりの事物と人間の将来が,ほんのわずかではあってもとにかく,瞬間ごとの自分の決断にかかっていることを知ることです。」
 とても哲学的な内容ですが,言いたいことがみなさんには理解できるでしょうか。この内容をもう少し具体的に,みなさんの生活と関連させて話してみたいと思います。
 みなさんが、もし無事に進級もしくは卒業したとしたら,それは実は毎朝起こしてくれたお母さんやお父さんをはじめとする保護者のおかげでも,休んだら単位が危ないぞと言い続けてくれた担任の先生のおかげでも,一緒に進級しようと励ましてくれた友達のおかげでもありません。あなたがそのとき『起きる』ことを選択したからであり『休まない』ことを選択したからであり『期待に応える』ことを選択し,行動した結果です。すべての『手柄』も『失敗』も自分のもの,自分の責任です。
 もちろん,みなさんを想い,みなさんの幸せを願う多くの人の存在は,みなさんが決断するうえで大きな支えとなったことはまちがいないことだとは思います。もし,みなさんが現状に満足できていないとすれば,いまの生活をやめるという道も選ぶことができます。これから先に変化を起こすことは可能です。それは,過去が現在につながっているように,未来はいまみなさんが下す決断とつながっているからです。人生は決断の連続です。その一つ一つがみなさんの未来を選択する行為でもあると思います。
 一年の終わりに,現状を何とか変えたいと思っている人,自分の人生を主体的に生きたいと願う人,どうか前向きに日々の生活を丁寧に過ごすことの大切さを,新しい年を迎えるにあたって,認識を新たにして欲しいと思います。
 来年が,自分の決断で動き,素晴らしい年となるよう願って,私の話を終わります。