太田川の流れも春の装いを運ぶかのように流れ、戸坂一帯も春の訪れとともに一層輝きを増し,まさに春爛漫の佳き日,多くのご来賓,保護者の皆様のご臨席をいただいき,ここに広島城北中学校第五十九回、広島城北高等学校第五十七回入学式を執り行うことができますことは,本校にとりましてこの上ない喜びであります。
 広島城北中学校に第五十九回生として入学された百七十五名の皆さん,広島城北高等学校に第五十七回生として入学された二百五名のみなさん、ご入学おめでとうございます。みなさんはさまざまな苦悩や難関を乗り越え,みごと本校への合格を果たし,それぞれの夢と希望をもって,ここに臨んでいることと思います。私たち教職員一同,皆さんの期待に応えるべく総力をあげて支援する決意でおります。
 本校は昭和三十六年に第一回の中学校入学式を挙行し,昭和三十八年に第一回の高等学校入学式を挙行して今日にいたっております。今年度は創立五十八周年を迎え、半世紀を超え新たな歩みを進めようとしています。
 本校には三つの「建学の精神」に裏打ちされた、素晴らしい校訓でもあり,いわゆる箴言(しんげん),いましめの言葉があります。それは「学んで厭かず、教えて倦まず」ということばです。何事にも立ち向かっていこうとする気概と誇りを持った生き方を通して,無限の可能性を秘めた若者たちを、どこまでも雄々しく育てて行こうとする城北教育の真髄であると私は理解しています。
 去る三月一日には第五十四期生が,自らの進路目標に向かって,雄々しく飛び立っていきました。皆さんも本校の校訓の精神でもって,人をたのまず自らを信頼し,学びそして知ることに喜びを持ち,心身を鍛え,自らを律する精神をもって,二十一世紀の国際社会に向かって大きく成長していった,先輩たちに続いて欲しいと思います。
本校の校章は中心に二匹の鯉を配し、今まさに滝登りに向けて力を蓄えているように私には思えます。二匹の鯉がより高みに向けて飛び上がろうとする姿は、本校の力強く前進する姿勢をも表現していると思います。
 「To eat bread without hope is still slowly to starve to death.」
「希望もなくパンを食べたところで、ゆっくりと餓死するようなものだ。」
 これは生後まもなく中国に渡り、米国に帰国して大学を終え、宣教師として再び中国にもどり、苦闘する農民を描いたパール・バックの言葉であります。かれは「大地」という作品でピューリッア賞を受け、後にノーベル文学賞を受賞しています。
これから皆さんが学ぶ広島城北中・高等学校での生活は、強い勉学への意志と能力をもった生徒が、自らの希望と判断によって選択した人生の一段階であります。パール・バックの言葉の中には、夢や希望がいかに大切なことか、ということを述べています。夢や希望は、これからの学校生活にとって力強い原動力となることは間違いのないことであります。
歴史民俗研究家の山崎さと子さんが「赤毛のアン」を読んだ時の自分を振り返って、次のように回顧しています。「小学生の私は、「赤毛のアン」を読むとき、見たこともないプリンスエドワード島の美しい自然を感じていました。高校生のとき原書を読み、英語にはこんな表現があるのかと幾度も新鮮な驚きを味わいました。そのたびに私は、ああ、そうか!と思い、いま英語の世界が見えた!英語を話す人たちの頭の中が見えた!と感じました。それは伸ばしていた手が届いた喜びでした」と。山崎さんのお話は、まさに夢や希望に繋がるものだと思います。学ぶことの真の目的は、自分の知らない世界があること、そしてその世界にどうしたら繋がっていけるのかを自分で探る経験をすることだと思います。
中学校・高等学校は自分の可能性を試してみる期間です。皆さんには様々な可能性があることは間違いありません。その可能性を開花させるためには、努力する前に自分はできないものとして、あきらめてしまうことなど決してあってはなりません。
みなさんが、今漕ぎ出そうとしている大海原のかなたには,必ずやみなさんの探し求めるものが待っています。心を豊かにして,大きな気持ちでこれからの学校生活に果敢に挑戦していただきたいと思います。
 最後になりましたが,保護者の皆様,本日は,誠におめでとうございます。私たち教職員は一丸となって,精一杯指導に打ち込み,保護者の皆様をはじめ,地域の方々の期待に応えられる教育を推進してまいります。本校教育と本校教職員への変わらぬ信頼と,ご理解,ご協力を賜りますよう衷心よりお願いして,式辞といたします。